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連続型の確率分布

現在、こちらのアーカイブ情報は過去の情報となっております。取扱いにはくれぐれもご注意ください。

(平成23年7月1日現在)

5-1.正規分布(ガウス分布)

 前項までは離散型の確率分布について解説しましたが、ここからは連続型の確率分布について解説します。この連続型の確率分布は現実社会において非常に多く用いられるもので、確率論をファイナンスで用いるためにも、連続型の確率分布について十分な理解が必要となります。

 

 連続型の確率分布の最も代表的で、最も利用されるものが、正規分布(normal distribution)です。正規分布は、正規分布の原型を導き出した数学者(天文物理学者でもあった)ガウスの名前を用いて、ガウス分布(Gaussian distribution)ということもあります。正規分布の確率密度関数、期待値、分散を示すと次のとおりです。

 

【確率密度関数】

 

【期待値】

 

【分散】

 

 このことから、平均μ、標準偏差σとなることがわかります。この正規分布をと表現します。

 

 さて、正規分布においてもう1つ重要なのが標準化された標準正規分布(standard normal distribution)です。標準化とは、平均(期待値)0、分散1とするものです。つまり、N(0,1)です。

 標準正規分布の意義は、どんな正規分布であっても標準化によって標準正規分布を用いた確率計算が可能であるという点です。一般的に、標準正規分布の累積分布関数の値が表で与えられており、これを用いて実務的に確率計算することができるのです。

 なお、標準正規分布の累積分布関数は次の通りです。

 

【標準正規分布の累積分布関数】

 

5-2.指数分布、ガンマ分布

 指数分布(exponential distribution)も連続型の確率分布として代表的なものです。指数分布の確率密度関数、累積分布関数、期待値、分散は次のとおりです。

 

【確率密度関数】

 

 

【累積分布関数】

 

【期待値、分散】

 

 指数関数は、数学的な扱いやすさから、しばしば利用される確率分布です。

 

 さて、この指数関数を一般化して拡張したのが、ガンマ分布(Gamma distribution)です。ガンマ分布は以下で説明するように、ガンマ関数を用いた分布です。

 

【確率密度関数】

   

 ただし、ガンマ関数は次のように定義される。なお、ガンマ関数は、αが自然数の場合の階乗計算の一般化されたものです(ガンマ関数そのものはオイラーによって複素数へ拡張された概念)。

  

 

【期待値、分散】

 

 

  ここでα=1のとき、指数分布となることが確認できます。

 

5-3.ベータ分布

 ベータ関数を用いたベータ分布(Beta distribution)という連続型の確率分布があります。確率密度関数、期待値、分散は次のとおりです。

 

【確率密度関数】

 

 ただし、ベータ関数は次のように定義する。

 

 

【期待値、分散】

  

 

 ベータ分布は、ファイナンスではほとんど登場することはありません。また、一般的にも利用頻度は少ないように思われます。このベータ分布はベイズ統計学でよく利用されています。

 

5-4.対数正規分布

 対数正規分布(log-normal distribution)は、オプション価格理論で用いられている連続型の確率分布であり、ファイナンスにおいて非常に重要な確率分布と言えます。

 対数正規分布は、logXが正規分布に従うときに、もとのXが対数正規分布に従うことになります。確率密度関数、期待値、分散は次のとおりです。

 

【確率密度関数】

 

 

【期待値、分散】

 

 

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