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ストック・オプションの発行手続

8.ストック・オプション発行手続 -総論-

ストック・オプションの発行手続の概要は下記の通りとなります。

 

@ 役員へ付与する場合の報酬決議
  ↓
A  募集事項の決定(有利発行の場合、有利発行決議を含む)
  ↓
B 募集事項についての通知または広告
  ↓
C

募集発行方式か総額引受方式により異なります。

 ・募集発行方式の場合…募集新株予約権の申込みと割当て

 ・総額引受方式の場合…割当契約書の締結

  ↓
D  発行・新株予約権原簿への記載
  ↓
E 登記

9.ストック・オプション発行手続 -各論-

@ 役員へ付与する場合の報酬決議

 

取締役等へストック・オプションを付与する場合、報酬として会社法上の取締役等の報酬規制の対象になる点とどのようは手続が必要かは「シリーズ3 ストック・オプションと報酬規制」で紹介しています。

 

A 募集事項の決定

 

株式会社は、その発行する新株予約権を引き受ける者の募集をしようとするときは、その都度、募集新株予約権について募集事項を定めなければなりません。募集事項の内容は下記のようなものがあります(会社法238条1項)。

募集新株予約権の内容(発行株式数、権利行使価格、権利行使期間など)および
募集新株予約権と引換えに金銭の払込みを要しないこととする場合には、その旨
上記以外の場合、募集新株予約権の払込金額またはその算定方法
募集新株予約権の割当日 など

 

公開会社における新株予約権の募集事項の決定は、原則として、取締役会決議を要します(会社法240条1項)。ただし、新株予約権について金銭の払込みを要しないことが特に有利な条件に該当する場合や払込金額が取得者に特に有利な金額の場合、すなわち有利発行の場合は、有利発行が必要な理由を株主総会において説明するとともに、株主総会の特別決議を要します(会社法240条1項)。この点は、「シリーズ4 ストック・オプションにおける公正発行と有利発行」をご覧ください。

 

非公開会社においては、株主総会の特別決議によって募集事項を決定するのが原則です(会社法238条2項)。有利発行の場合は、さらに有利発行が必要な理由を株主総会において説明しなければなりません。

 

しかし、株主総会の特別決議によって、割当日がその決議の日から1年以内の日である募集新株予約権に係る募集事項の決定に限り、取締役会に委任することができます(会社法239条1項・3項)。この場合、株主総会ににおいて、委任に基づき募集事項を決定することができる新株予約権の内容および数の上限、募集新株予約権について金銭の払込みを要しないこととする場合にはその旨、それ以外の場合には、募集新株予約権の払込金額の下限を定めなければなりません(239条1項)。

さらに、新株予約権について金銭の払込みを要しないことが特に有利な条件に該当する場合や払込金額が取得者に特に有利な金額の場合、すなわち有利発行の場合は、有利発行が必要な理由を事前に株主総会において説明しなければなりません(会社法239条2項)

 

また、種類株式発行会社において、募集新株予約権の目的である株式の種類の全部又は一部が譲渡制限株式であるときは、当該募集新株予約権に関する募集事項の決定の委任は、定款の定めがある場合を除き、種類株主総会の特別決議がなければ、その効力は生じません(会社法239条4項)。

 

B 新株予約権の募集事項の通知・公告

 

公開会社の場合、新株予約権の募集事項の決定は、原則として、取締役会決議で済みます。そのため、取締役会の決議によって募集事項を定めた場合(ただし株主割当以外)には、割当日の2週間前までに、株主に対して募集事項の通知または広告をしなければなりません(会社法240条2項3項)。

ただし、上場会社などで割当日の2週間前までに有価証券届出書を出しているなどの場合、株主保護は図られているため通知・広告を省略することができます。

 

C 新株予約権の引受の申込みおよび割当て/割当契約書の締結

 

募集発行方式をとった場合、新株予約権を募集するという形をとりますので募集に対して申込みという手続きと申込者の中から割り当てる新株予約権の数を定める割当てという手続が必要になります。 しかし、ストック・オプションとしての新株予約権の場合、付与対象者も設計段階で決まっており、新株予約権を引き受ける役職員の引き受ける意思が決まっています。 そのため、発行会社は募集新株予約権の引き受けようとする者と事前に引受契約を締結することで契約申込者を保護するための申込み手続(会社法第242条)と割当て手続(会社法第243条)を省略することが可能です(会社法244条)。これを総額引受方式といいます。ストック・オプションの場合、通常、総額引受方式による手続となります。

 

両者の手続きの詳細は下記のとおりとなります。

 

<募集発行方式>

会社は、募集新株予約権の引受けの申込みをしようとする者に対し、会社の商号・募集事項・新株予約権の行使に際して金銭の払込みをすべきときは、払込みの取扱い場所などを通知しなければなりません(会社法242条1項)。(ただし、当該事項を記載した金商法で規定する目論見書を申込みしようとする者に対して交付している場合などは不要)

一方、募集新株予約権の引受けの申込みをする者は、申込みをする者の氏名または名称・住所、引受けようとする募集新株予約権の数を記載した書面を会社に交付しなければなりません(会社法242条2項)。(電磁的方法も可)

続いて会社は、申込者の中から募集新株予約権の割当てを受ける者を定め、かつ、その者に割り当てる募集新株予約権の数を定めなければなりません(243条1項)。

そして、割当日の前日までに、申込者に対し、当該申込者に割り当てる募集新株予約権の数を通知しなければなりません(243条3項)。

 

<総額引受方式>

総数引受方式では、会社と引受者(付与対象者)の間で、今回発行する新株予約権を引き受ける割当契約を締結します。割当契約書においては、引受者が会社の発行する新株予約権を引き受ける旨や割当する新株予約権の数やその内容、1株の払込金額などが盛り込まれます。

 

D 発行・新株予約権原簿への記載

 

募集発行方式で割当てを受けた者、総額引受方式により引受けた者は、割当日に新株予約権者となります。 そして、会社は新株予約権を発行した日以後遅滞なく、新株予約権原簿を作成し、新株予約権の区分に応じ、必要事項を記載し、または記録しなければなりません(会社法249条1項)。

 

E 登記

 

新株予約権は登記事項ですので、ストック・オプションも登記を行わなければなりません。

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