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ストック・オプションの取得者(個人)の税務 −税制適格(1/2)−

4.特例による課税関係(税制適格ストック・オプション)

税制適格ストック・オプションとは、租税特別措置法第29条の2にもとづいたストック・オプションを指します。

 

具体的な租税特別措置法第29条の2の内容(=税制適格の要件)は、後ほど解説するとして、まずは税制適格ストック・オプションの課税関係について見ていきます。

 

ここでの議論は、原則的な課税関係と同様に、課税時期(いつのタイミングで課税されるのか)課税される所得の種類(何の所得として課税されるのか)です。

 

<税制適格ストック・オプションの課税関係>

■ストック・オプション取得時

課税なし

■権利行使時

課税なし

■株式譲渡時

課税あり(譲渡所得課税)

 

ストック・オプションの取得時に課税されない点は原則的な課税関係(税制非適格ストック・オプション)と同様です。

 

ポイントは、権利行使時の課税関係です。

 

”税制非適格ストック・オプション”では、権利行使時の含み益に対して給与所得等として課税されましたが、”税制適格ストック・オプション”の場合、権利行使時には課税されません

 

ただし、厳密にいうと”課税されない”のではなく、取得株式の譲渡時に譲渡所得課税として一括課税されるため、”課税の繰り延べ”が正しい表現となります。

5.特例による課税関係(税制適格ストック・オプション) −具体例−

 具体例をみてみます。

 

付与時株価および権利行使価格1,000円のストック・オプションを100株取得し、その2年後、株価が2,000円になったため権利行使を実施し、1,000円で100株の株式を購入した。その後、株価が2,500円になったとき株式を売却した場合の、取得者(個人)の課税関係は下記のとおりとなります

ストック・オプションは、租税特別措置法第29条の2にもとづく特例による課税関係(税制適格ストック・オプション)とします。

 

■ストック・オプション取得時

課税なし

■権利行使時

課税なし

■株式譲渡時

150,000円が譲渡所得として課税

(売却価格2,500円−権利行使価格1,000円)×100株=150,000円

 

税制非適格ストック・オプションの場合、100,000円が給与所得として課税され、50,000円が譲渡所得として課税されていましたので、税制適格ストック・オプションの場合は権利行使時の含み益100,000円が、”株式譲渡時”にまとめて課税されていることがわかります。

 

また、権利行使時の含み益100,000円について、税制非適格ストック・オプションの場合、給与所得として課税されていましたが、税制適格ストック・オプションの場合、譲渡所得として課税されています。

6.税制非適格ストック・オプションと税制適格ストック・オプションとの比較

上記の具体例から、原則的な課税関係(税制非適格ストック・オプション)と特例による課税関係(税制適格ストック・オプション)の違いは@ 課税タイミングA 権利行使時の含み益の所得区分の2点ということになります。

 

@の違いは、納税資金の負担に影響を及ぼします。

 

すなわち、税制適格ストック・オプションの場合、株式の売却資金を確保した後に納税を行うため、納税資金の確保は特に気にする必要はありません。

一方、税制非適格の場合、売却タイミングとは別に課税されてしまいますから、別に納税資金を用意するか、権利行使後急いで売却して納税資金を確保する必要があります。

 

Aの違いは、適用税率に差がでてきます。

 

給与所得の場合、総合課税として最高税率50%(所得税40%、住民税10%、ただし課税総所得金額が1,800万超の場合)が課税される可能性があります。

一方、譲渡所得の場合、分離課税として税率は「上場株式の場合は10%(所得税7%、住民税3%)」「非上場株式の場合は20%(所得税15%、住民税5%)」が適用されます。

(上場株式の10%軽減税率は、平成22年4月1日現在法令等では、平成23年12月31日までですが、平成23年税制改正案では、平成25年12月まで延長される予定)

 

このため、税制適格ストック・オプションは、非適格の場合の課税に比べて大幅に税負担が軽くなる可能性があります。

特に株式公開(IPO)のインティブ目的のストック・オプションの場合、キーパーソンの成果報酬は、通常の給与や現金賞与と合わせて、1,800万円を超えてしまう場合がしばしばですので、この差は重要となります。

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