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新株予約権の取得者(個人)の税務(2/2)

2.有利発行もしくは役務提供の対価として発行される場合の課税関係

新株予約権の譲渡についての制限その他特別の条件が付されおり、かつ、引き受ける者に特に有利な条件もしくは金額で発行されたもの、もしくは、役務の提供その他の行為による対価の全部もしくは一部として新株予約権を”個人”が取得した場合、所得税法施行令第84条の規定により、新株予約権の取得時においては、課税を受けず、権利行使時において”権利行使により取得した株式の行使日における価額(=株式の時価)”と”当該新株予約権の取得価額にその行使に際し払い込むべき額(=行使価額)を加算した金額”の差額に課税がなされることになります。

 

当該有利発行もしくは役務提供の対価としての新株予約権について規定した所得税法施行令第84条は、無償の新株予約権すなわちストック・オプションを想定した規定であると考えられます。そして、有利発行された新株予約権等が、取得時点において課税される法人とは異なり、このような取扱いを設けた趣旨は、個人が取得時点において新株予約権の時価相当額を測定するのは、実務上困難であるためと考えられます。

 

なお、株主割当で取得し、他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合は、同上の適用対象外となります。しかし、この場合でもの取得価額はゼロをされるため、取得時点において時価相当額の測定は不要となります。(所得税法施行令第84条第1項、同法第109条第1項3号)。

 

【所得税法施行令 第84条】

(株式等を取得する権利の価額)

第八十四条  発行法人から次の各号に掲げる権利で当該権利の譲渡についての制限その他特別の条件が付されているものを与えられた場合(株主等として与えられた場合(当該発行法人の他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合に限る。)を除く。)における当該権利に係る法第三十六条第二項 (収入金額)の価額は、当該権利の行使により取得した株式(これに準ずるものを含む。以下この条において同じ。)のその行使の日(第五号に掲げる権利にあつては、当該権利に基づく払込み又は給付の期日(払込み又は給付の期間の定めがある場合には、当該払込み又は給付をした日))における価額から次の各号に掲げる権利の区分に応じ当該各号に定める金額を控除した金額による。

一  (省略)

二  (省略)

三  (省略)

四  会社法第二百三十八条第二項 (募集事項の決定)の決議(同法第二百三十九条第一項 (募集事項の決定の委任)の決議による委任に基づく同項 に規定する募集事項の決定及び同法第二百四十条第一項 (公開会社における募集事項の決定の特則)の規定による取締役会の決議を含む。)に基づき発行された新株予約権(当該新株予約権を引き受ける者に特に有利な条件若しくは金額であることとされるもの又は役務の提供その他の行為による対価の全部若しくは一部であることとされるものに限る。) 当該新株予約権の行使に係る当該新株予約権の取得価額にその行使に際し払い込むべき額を加算した金額

五  (省略)

 

また、この場合の権利行使による株式の取得価額について、所得税法施行令第84条と整合するするように所得税法施行令第109条において、新株予約権の権利行使日における価額(=権利行使時の時価)とすると規定されています(所得税法施行令第109条第1項2号)。

 

【所得税法施行令 第109条】

(有価証券の取得価額)

第百九条  第百五条第一項(有価証券の評価の方法)の規定による有価証券の評価額の計算の基礎となる有価証券の取得価額は、別段の定めがあるものを除き、次の各号に掲げる有価証券の区分に応じ当該各号に定める金額とする。

一  (省略)

二  発行法人から与えられた第八十四条(株式等を取得する権利の価額)の規定に該当する場合における同条各号に掲げる権利の行使により取得した有価証券 その有価証券のその権利の行使の日(同条第五号に掲げる権利の行使により取得した有価証券にあつては、当該権利に基づく払込み又は給付の期日(払込み又は給付の期間の定めがある場合には、当該払込み又は給付をした日))における価額

三  発行法人に対し新たな払込み又は給付を要しないで取得した当該発行法人の株式(出資及び投資口(投資信託及び投資法人に関する法律第二条第十四項 (定義)に規定する投資口をいう。次条第一項において同じ。)を含む。以下この目において同じ。)又は新株予約権のうち、当該発行法人の株主等として与えられる場合(当該発行法人の他の株主等に損害を及ぼすおそれがないと認められる場合に限る。)の当該株式又は新株予約権 零

四  (省略)

五  前各号に規定する方法以外の方法により取得した有価証券 その取得の時におけるその有価証券の取得のために通常要する価額

(以下省略)

 

<有利発行もしくは役務提供の対価として発行される場合の課税関係>

■新株予約権取得時

課税なし

■権利行使時

課税あり

■株式譲渡時

課税あり

  

 

そして、さらに一定の条件を満たした新株予約権、厳密にはストック・オプションの場合、権利行使時における課税も繰延べ、取得した株式を売却した時点において、譲渡所得として一括して課税されるという特例、すなわち税制適格ストック・オプションがあります.

 

以上をまとめると、右図のよう整理することができます。

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